かめこ
うさみ
原作『ただ君だけ』の概要
2011年に韓国で制作された作品。
主人公は元キックボクサーのチョルミン(ソ・ジソブ)と視力を失った女性ジョンファ(ハン・ヒョジュ)。
チャップリンの名作『街の灯』をモチーフにしたラブストーリーです。
リメイク『きみの瞳が問いかけている』の概要
2020年に日本で公開。
2011年公開の原作『ただ君だけ』のリメイク版として制作されました。
主人公は視力を失った女性柏木明香里(吉高由里子)と元キックボクサー篠崎塁(横浜流星)。
>>横浜流星ファン目線!『きみの瞳が問いかけている』感想・あらすじ
どこが違う?きみのめVSただ君だけ
- 男の年齢
- 男の仕事
- 洗礼名
- お花の種類
- 家
- 女の家への移動手段
- コンサート
- 名前を名乗るタイミング
- 男の呼び方
- 服役期間
- 被害者
- デートの場所
- 2人をつなぐもの
- 敵
- 歌
- 主題歌
- 店員
- お店に置いてあったもの
- ラストシーン
男の年齢
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
篠崎塁(24歳) | チョルミン(30歳) |
きみのめでは主人公の明香里よりも年下設定でしたが、原作『ただ君だけ』では年上設定です。
年齢を明かした後のシーン、きみのめでは明香里が「おじさんじゃなかったのね」って言ってますが、原作では“おじさん”のままです笑
男の仕事
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
お酒の配達&キックボクサー | ウォーターサーバーの配達&キックボクサー |
きみのめでは塁が業務用ビールサーバーの酒樽を運んでいますが、原作ではウォーターサーバーのボトルです。
両手に抱えて運ぶ似たシーンが出てきます。
洗礼名
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
アントニオ篠崎塁 | ジャン・マルセリーノ |
きみのめでは「アントニオ篠崎塁」で一つの名前なのですが、原作では洗礼名にチョルミンという本名は含まれていません。
共にシスターが名付け親なのですが、きみのめが優しくて物静かな母親像なのに対し、原作のシスターはちゃきちゃきした明るいお母さんって感じです。
お花の種類
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
キンモクセイ | 夜来香(イエライシャン) |
きみのめではキンモクセイですが、原作では夜来香です、夜来香はイエライシャンという中国原産のお花ですが劇中に移っているのはキンモクセイの木ですね。
イエライシャンは葉先が丸いので違います。
家
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
家無し。マンガ喫茶のち駐車場の住み込み | 家がある |
きみのめでは塁ははじめマンガ喫茶に寝泊まりしており、駐車場の管理人の仕事に就いてからは住み込みになります。
しかし、原作のチョルミンはアパート住まいで最初から家に住んでいます。
女の家への移動手段
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
バス | 電車 |
両方とも女が車にはねられそうになり、ケガをするところまでは一緒なのですが、きみのめでは車が入庫するときに転び、塁と一緒に電車で帰宅します。
一方、原作では車が出庫するときに転び、チョルミンと一緒に電車で帰宅します。
コンサート
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
ジャズ演奏 | バンド |
2人で音楽を聴きに行くシーンは同じなのですが、きみのめがジャズ演奏だけなのに対し、原作では男女が歌うバンドです。
実際にアレックス&ホランというユニットが特別出演して歌っています。Flowers Blood (OST) – 꽃이 피네요
女の呼び方
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
ちょっと→明香里さん→明香里 | ちょっと→ジョンファさん→ジョンファ |
女性の呼び方に関しては女性が名乗った場所も変遷の仕方も全く同じです。
男が名前を名乗るタイミング
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
デートの帰り | 名乗らない |
音楽を聴いた後、焼肉屋で食事をするシーンは同じなのですが、揉めますよね。
で、きみのめでは明香里の家の前で塁が「アントニオ篠崎塁」って名乗るんですが、原作では名乗りません。
ただ、名乗るシーンは無いんですが後半でジョンファは知っている設定です。
男の呼び方
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
おじさん→塁 | おじさん |
2人の出会いのシーンは同じです。初め前に駐車場の管理をしていた“おじいさん”と間違われますよね。
で、きみのめでは明香里が塁の声から“おじさん”と判断してしばらく呼んでますが、デート帰りで打ち明けられた後“塁”になります。
一方、衝撃なのですが原作ではジョンファはチョルミンという名前を知っているはずなのですが、映画の最後の最後まで“おじさん”と呼んでいます笑。
なのでラブシーンのところも、きみのめでは明香里が“塁”と呼びますが、原作ではジョンファはチョルミンを“おじさん”って呼びます。
服役期間
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
3年5ヶ月 | 4年3ヶ月 |
塁が服役していた期間は3年5ヶ月、チョルミンは4年3ヶ月服役していました。
被害者
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
焼死 | 全身やけどだが生きている |
きみのでは塁が原因で借金を抱えた男性は焼死しましたよね。
ですが、原作では全身やけどはしましたが被害男性は生きています。またチョルミンが育った修道院でシスターが治療しています。
デートの場所
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
海辺 | 湖畔 |
男女がデートする初めてデートに行く場所ですが、きみのめでは塁が実のお母さんとの記憶がある海辺でしたよね。
一方、原作ではチョルミンが育った修道院の近くにある湖畔です。
2人をつなぐもの
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
シーグラス | 石 |
お互いをつなぐものとして出てくるモノがありますが、きみのめではシーグラスなのに対し、原作は石です。
歌
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
椰子の実 | なし |
きみのめでは明香里が鼻歌で“椰子の実”を歌っています。
ストーリーの中でも重要なシーンの1つですが、原作にはそのような演出は一切ありません。
主題歌
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
BTS『Your eyes tell』 | カン・ジュンソク(방 준석)『Don’t go』 |
きみのめファンの方であればすぐにBTSの『Your eyes tell』が思い浮かびますが、これは三木孝浩監督がダメ元でオファーしたところ、BTS側がOKして書き下ろしてくれたからですね。
一方、原作『だだ君だけ』が公開された2011年にはまだBTSは存在しておらず、カン・ジュンソクさんが歌う『Don’t go』がエンディングに使われています。
犬
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
ゴールデンレトリバー 名前:スク | ゴールデンレトリバー 名前:ディンガ |
両作品とも犬が出てきます。そして名前は原作の台詞「ディンガディンガ(すくすく)、育つように」が由来です。
ところで、なぜ塁はゴールデンレトリバーを連れてきたか分かりますか?
きみのめではその理由について触れられていませんが、原作ではチョルミンが“将来、盲導犬になるように”と言っています。
だからトイプードルなどではなく、ゴールデンレトリバーだったんですね。
敵
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
ウロボロス(半グレ集団) | かつての子分、ミン・テシク |
両作品とも敵対する人々が出てきます。きみのめでは、子供の頃塁と一緒に修道院で育った佐久間恭介(町田啓太)がリーダーを務める半グレ集団ウロボロスです。
一方、原作ではチョルミンの元子分であり、同じキックボクシングジムに所属していたミン・テシクです。
リハビリ施設で見かけてから再会までの年数
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
2年 | 2年 |
これはどちらも同じ2年です。きみのめも原作も男はリハビリ施設で再会しますが、女は気付きませんよね。
で、次のお店のシーンになるとき2年後になるのは全く同じです。
店員
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
女性 | 男性 |
明香里のジョンファも自分のお店を持つのは一緒なのですが、そこで働いている従業員の性別が違います。
きみのめでは若い女性ですが、原作では独身男性です。
お店に置いてあったもの
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
オルゴール | 亀 |
きみのめではお店の棚に置いてあったオルゴールを塁が開き、涙を流しますよね。
一方、原作では棚に置いてあった亀が無くなっています。
この亀はチョルミンが家で飼っていた亀で、失踪している間、ジョンファが飼っていたっていう設定だと思われます。
ラストシーン
きみの瞳が問いかけている | ただ君だけ |
海辺。会話は少ない | 湖畔。会話が多い |
ラストシーン。両作品とも2人が初めてデートをした場所なのですが、面白いのは会話の量です。
きみのめはかなり少ないですよね。一言、二言くらいですが、原作は結構しゃべります。
『きみの瞳が問いかけている』VS『ただ君だけ』!比較した感想
まず、ストーリーに関してはほぼ同じです。
登場人物のキャラクターはそっくりです。
明るく前向きな性格の女性と口数が少ない物静かな男性など
出てくる登場人物の多くは両作品とも似ています。
原作とリメイクの関係なので当たり前と言えば当たり前なのですが、両方見た方は「あ、あのシーンはこのシーンなんだ」みたいに比較できて面白いと思います。
さて、きみのめとただ君だけを比較して一番思ったことは、文化の違いですね。
どっちがいいとか悪いではなく、表現の仕方や受け取りやすさみたいなものが違うことに気付きました。
原作『ただ君だけ』は言葉が多く、伝え方がダイレクトです。
はっきり愛情表現するから分かりやすい!
あとは脈略が関係ないところもありますが、展開が早いです。
一方、『きみの瞳が問いかけている』は表現の仕方がていねいで、日本人の感性に合う作り方がされています。
前後関係とか論理構成が整っているから分かりやすいです。
例えば、呼び方ですよね。
原作は最後まで男を“おじさん”って呼ぶんですよね。
日本人の感覚からすると、すでに付き合っているなら下の名前とかで呼ぶと思うんですが、なぜかジョンファは“おじさん”呼ばわりなんです。
ここがちょっと違和感。
一方、『きみの瞳が問いかけている』では途中から呼び方が“塁”に変わっているので、自然ですよね。
あとは、お花の種類ですね。
原作では夜来香(イエライシャン)ですが、日本人の多くはお花の色も香りも全く想像できないと思います。
おそらく韓国ではメジャーなお花なのかもしれません。
一方、きみのめではキンモクセイです。
これは三木孝浩監督が仰っていましたが、誰もが想像できるお花や感じ取れる香りにしたかったためキンモクセイを選んだそうです。
確かに、知らないお花だと印象に残りませんからね。
あとは亀!
原作ではお店にあった亀が盗まれます!
冷静に考えて、亀盗まれたらビックリするだろうし怒ると思うんですが、ジョンファは“もしや!おじさん”ってひらめきます。
そしてなにより、チョルミン!なぜ亀をパクった笑
いくら自分が飼ってた亀だからって持って帰ったらダメでしょ!
多分、ジョンファと2人で暮らした生活を思い出してしまったんでしょうね。
一方、きみのめでは塁が修道院を訪ねたときに、子供たちがオルゴールを作っていましたよね。
そしてシスターが塁のためにも作るから好きな曲があったら言って、といっていました。
明香里が引っ越すときに修道院から塁宛にオルゴールが届きました。
で、明香里の店の棚にあったオルゴールを見つけ開くと「椰子の実」が流れ涙するという展開です。
どうでしょうか、お話の展開に無理が無く丁寧ですよね。
腑に落ちると思います。
このように『きみの瞳が問いかけている』は原作をさらに深みのある作品に仕上げています。
私は横浜流星さんのファンなので、どうしても“きみのめびいき”なのですが、両作品とも素敵な作品です。